ツヨシのブログ

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ドコモのCiRCUSシステムについて考える

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プロジェクトが成功するかどうかは、いろんな要素により左右されます。そして、そのプロジェクトが大きくなればなるほどプロジェクトの成功は難しくなって いきます。ある書籍で読んだドコモのCiRCUSシステムの構築プロジェクトについて興味深かったので、今回はこれについてまとめてみたいと思います。

ド コモのネットワーク接続のサービスにimodeがあります。これはメールやインターネット、コンテンツ提供のサービスを行うものです。現在この利用者は 4000万人で1秒間に数万のトランザクション処理を行わないと行けないというサービスです。しかも24時間365日、常に稼働しないといけないという要 求付きです。そんな化け物サービスなのですが以前のシステムであるグリムは2000年にトラブルが続き、このため新しいシステムのCiRCUSに移行する プロジェクトが2001年に立ち上がりました。この移行期間は2年間。長いようで十分に短い。

プロジェクトを成功させるためのキーワードは「失敗の芽をひとつひとつ摘み取って行く」だと思います。これに従って現場で行ったことは、次のようなことです。

1.最初に具体的な要件を定義して途中でぶらつかないこと
2.システムの中核部分にブラックボックスを作らないこと
3.システムの移行作業では細かく手順化を行うこと
4.メンバーのいい仕事を称えること

以下にその詳細を説明したいと思います。

◆最初に具体的な要件を定義して途中でぶらつかないこと
ドコモがベンダーに要求したものは次の2点。「24時間365日稼働しつづけること」「大量のトランザクションを処理できること」です。そして、そのなか で性能、可用性、運用要件を明確に定義して、開発途中でこの仕様がぶれなかったこと。このため、開発側は明確に確定された仕様のもと、仕様変更による出戻 りを行なうことなく強固なシステムを構築することができたと。

コンポーネント単位で完成度を上げること
コ ンポーネント単位で完成度を上げていくためにはシステム内部にブラックボックスを作らない工夫がひつようです。これは開発期間が限られているので、開発全 体をいくつかのコンポーネントに分けてそれぞれのコンポーネントの完成度を上げていくことが必要になるためです。そして、それらのコンポーネントを結合し ていくなかでひとつでも完成度の低いものがあれば全体だ台無しになります。また、完成度を上げるためにひとつの問題が生じた時に「なぜ」を繰り返し問題の 根本的な原因を追究して解決していくことがおこなわれました。この「なぜ」は通常で3回、最大で5回繰り返され原因の追求がなされました。

なぜなぜ方式はトヨタのカイゼンでも同様ですね。そして、仕様を変更するもの、追加するものについては徹底的にレビューを繰り返した。実装時の「なぜ」をなくすことにより明確な意思の統一を行ったことが成功の要因のひとつだということです。

◆システムの移行作業では細かく手順化を行う
旧 システムから新システムへのデータの移行のために手順書が作られたが、その通りに実践するのは難しいです。これは作業内容があいまいであればあるほど、そ のような傾向があると思います。例えば、「このサーバとこのサーバをネットワークで繋げて」だとかいう指示であると、このサーバのアドレスは?プロトコル は何を使うの?とかこんな根本的なことでさえあいまいになります。

これを踏まえて作業は明確にし、さらにその手順をチェックするということをやりました。まず初めは一人が入力した内容をもう一人が確認したうえでリターン キーを押すようにした。しかしそれでも入力ミスが相次いだ。そのため本番では1チームを3人体制とした。1人が入力作業をして、もう1人が読み上げ、さら にもう1人がチェックし本当に正しければリターンキーを押す。過剰のようだがこのような3人がかりのプロセスを繰り返すことで作業精度を高めていったそう です。

つまり、いかなる変更作業も細かく手順化して、ただしく行なわれているかをチェックすることが必要です。そして、更新作業は記述されたもの、そしていった んレビューを受けたものでなければならない。個人がその場の判断でコマンドを入力することはありえないということも加えられています。

◆メンバーのいい仕事を称える
メ ンバーを選ぶときに会社名ではなく人で選んだそうです。優秀でかつ目標の共有できるパートナー選びを重視した。また仕事の成功体験は共有し、それをモチ ベーションアップにすることで次の仕事を円滑に行なうようにした。システムは稼動してからも変更、追加、改修を繰り返すのでこのモチベーションはその後も 必要になってきます。

◆まとめ
主にこれらの4つの要素によりこのプロジェクトが成功したと言えるのではないでしょうか。今回考察したのはこのような大きなプロジェクトですが、どんなプ ロジェクトでも同様だと思います。そしてCiRCUSは今もまだ保守作業や機能拡張が行なわれています。実際こんなプロジェクトに配属されたらどうなんで しょうか。私はわくわくすると思います。理由は単純で大きなプロジェクトだから、困難なプロジェクトだからその達成感はひとしおであるからです。

とはいっても、こんな当たり前のことですがやっぱり難しい。それができるプロジェクトが成功するプロジェクトになると思います。

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